空と海が交わるとき


「なっ!」


莉子は一歩退いた。



「お前はもう止まらない。けど、俺は莉子を殺すことなんて出来ない。



だから、莉子が俺を殺せよ。」




「っ…。」莉子は目を丸くした。



一度、俯いたと思ったら




気がつくと、俺は莉子に押し倒されていた。



キッ、と首に剣の鋒を向けられる。


距離はわずか2センチほどだった。




「っ…。」



かまえたまま、莉子の動きは止まる。



この剣が俺を貫いた瞬間



すべてが終わる



空と海が交わるなんて、夢物語だったんだ




交わる事など、永遠にありえない




この苦しみが、俺達を支配している限り



俺は覚悟を決めて



目を閉じた。




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