チェリーガール
「行かされたんだよ。私はたいして興味ないよ」


「へー。お笑い好きか。なかなか味があって面白い人だね」


「うん。まあね」


私は、お笑いも苦手。


お笑い好きな男の子とは話が合わない気がする。


そういう子より真面目な人が好き。


「私はお笑いが好きな人も苦手なんだよ」


「そうだったね。心愛は私の彼氏と会った時、ほとんど何も喋らなかった」


「え? 会ったことあるの?」


「うん。すだちが私に紹介してくれた。去年だったかなー。まいったよ。お笑いの話ばっかり私にしてくるから。途中で眠くなった」


「あはは! そうなんだ。かなりマニアだねー」


「私の彼氏は、碧君とタイプが違うからね。碧君はお笑いとか興味なさそう。お笑い番組見るのかな?」


「見ないんじゃない? 冷淡な雪男だよ。お笑い、嫌いそうじゃん。クイズに強い男だから暇な時は、本ばっかり読んでそう。そういえば、学校の図書室でロシア文学やアメリカ文学について熱く友達と語ってるのを聞いたような聞いてないような……」


「それ、たまきホント? 碧様はロシア文学やアメリカ文学をこよなく愛していらっしゃるんだ!! なんてカッコイイのー♡」


私、両手を胸の前で組んだ。


「あはは! 心愛、目ぇハートになってる。恋する乙女だね」


そんな私を見て笑うたまき。


「碧君ってお笑い芸人を見たら軽蔑して『前頭葉が退化している』って言いそう」


すだちが冗談めかして言う。


「言いそう。言いそう」


たまきが激しく頷く。


「そんな碧様が私は大好き。マフラー編み編みして渡すぞー!」


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