チェリーガール
たまきがいなくなると、私とすだちだけ。


途端に、灯りが消えてしまったかのようにしんみりした感じになった。


すだちは、俯いて口を閉ざしてしまった。


物思いにふけっている様子。


私は、編み方が載っている本を探そうと辺りを見回した。


わりと店内は広い。


左や右、前後を見ていた……ら……。



え!?



碧様!?



偶然にも碧様がいる!!!


なぜか碧様は、ダッシュして出入り口の方へ姿を消した。


今、たしかに碧様がいたんだけど……。


なんで!?



私、パニック!!


今の幻だろうか?



「ちょ、ちょ、ちょっと……」


「ん?」


「すだち! 碧様がいる! いたんだよっ!」


「それは、似た人だと思うよ」


「いや、本当にいたんだってー。信じてよ」



たしかに、この目で見たんだよ。


それとも、碧様会いたさに幻覚でも見たんだろうか?


今のは何だったの?


ほんの一瞬の出来事だった。
< 126 / 202 >

この作品をシェア

pagetop