チェリーガール
「違うよ。きっと、似てる人を見たんだよ。いるわけないって」


私の言い分を、すだちは信じてくれない。


「そうかなー?」


「まったく、もう。これだから心愛は見てて心配になるよ」


「本当に碧様だったよ。どう見ても似てる人ではなかった。あれは……」


「はい、はい。もう、いいって」


私、すだちに相手にされなくなった。


その話はこれで終わった。


でも、私は納得いかない。


どうしても腑に落ちない。


なんで?


なんでなの?


あれ、碧様だったよ?


たしかに、そうだったもん。


ねー、どうして?


▼ ▼ ▼ ▼ ▼



リビングのソファに座って毛糸のマフラーを編んでいた。


お正月は特番が多い。


でも、特番に興味は無い。


テレビを見ないでせっせと編み物に励んでいた。
(受験勉強、忘れてません?)


時間の経過など気にせず予備校から帰って来ると、ひたすら深夜まで編み続けた。


これが、私の冬休みの日課になっていた。


明日も朝から予備校の冬期講習。


碧様に会える。


そして、夢の中でも……。


最近は、碧様を毎日夢に見る。


愛しい碧様♡


夢の中では、優しく微笑んでるの。


あの時のあの笑顔。
(碧様が子猫を拾った時ですね)


あの顔を生で見た時……。


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