チェリーガール
「でれでれしてる……」


気が付くと、目の前のローテーブルを挟んで向かいにお母さんがいた。


正座して真剣な表情のお母さん。


「ずっと、でれでれし続けてる。どうして、そうなったの? 何があったの? 何があなたをそうさせたの? それに、何を受験前に編んでるの?」


いきなりの質問攻めに、私は面食らった。

お母さんは、まだ続ける。


「1人で夜中ケラケラ笑ってるの見たことあるわ。私の親友が精神科医なの。一緒に彼女の病院へ行きましょう」



……。


病院?



「勉強のし過ぎでおかしくなったのね。そんなに自分を追いつめなくても……」


そこまで言うと、お母さんはワッと泣き出した。


あ……あの……。


お母さん……?



「お願いだから元に戻って……」


泣きながら、しがみついてきたお母さん。


???


違う……。


おかしくなったんじゃない……。


ただ……。


私は、恋に溺れてしまっただけ……。


「あー。泣いたらスッキリしちゃった。お母さん、先に寝るわね。おやすみ」


彼女はそう告げると、リビングのドアを開けて出て行った。


何だったんだろー、あの人……。


不思議……。


受験生の母で精神的プレッシャーを感じてるのかもなー。


私よりお母さんが受験にストレス感じてるよー。


私は全然なのに。

< 129 / 202 >

この作品をシェア

pagetop