チェリーガール
私はお母さんと2人、階段を降りてリビングに入った。


リビングのソファには……。





碧様が座っていた……。



うそ……。


なんで……?


「ほら、この子よ。カッコよくないけど、まあいいわ。許してあげる。ボーイフレンドと話しなさい」


また、お母さんが本人の前で失言。


失礼だよ?


わかってる?


私はびくびくしながら碧様の斜め前にあった1人掛け用ソファに座った。


なんで?


なんでなの?


私のこと、嫌いになって私の前から立ち去ったよね?


それなのに、どうして家に来るの?



私たちは座ったまま、黙りこくった。


言葉を発しようとしても、その言葉が見つからない。


どんな表情をすればいいのかも、わからない。


かなり気まずい。


どうしよ……。


ただ、碧様の膝に置かれた手ばかりを見ていた。


キレイな手、してる。


指の形がいい。



「突然、押しかけてごめん」


碧様が男らしく切り出した。








< 175 / 202 >

この作品をシェア

pagetop