チェリーガール
「え……そんな……別に……暇して……たから……」


私は、ぎごちない返事をする。


「この前はごめん」


碧様が神妙な顔付きで謝る。


「そんな……」


気にしてないよ……。


と、言いたいところだけど死ぬほど気にしてるから言えない。


私の部屋を見て『汚い』って言って逃げ去ったこと、今でも傷ついてる。


私にとってあれは、大きな心の傷となった。


「飽食と不潔が病気を招く」


「ふぇっ?」


「君が風邪を引いたのは不潔が原因」


「え? え? え?」


「普段から部屋を清潔にしておかないと」


「それは、そうだと思うけど。風邪は外でうつったんだと思うよ?」


「いや、不潔が原因だよ」


さっきから聞いてると、私のこと『不潔』、『不潔』って……。


そりゃ、汚い部屋で寝てるけど……。


『不潔』はちょっと言い過ぎではないかと思うんですがね。


「だから、掃除した方がいい」


「はあ。たしかに……」

掃除した方がいいかもしれないけど面倒臭い。

片付けるのって苦手。

やだなー。


「手伝うよ」

碧様が?

嬉しいけど、なんか恥ずかしくて嫌だなー。


「そりゃ、どうも」


「いつ掃除する?」


「明後日は試験だから……。終わったら……」
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