チェリーガール
「そうか」


碧様が、目を見開く。


「君は受験がまだなんだね」


「うん。なかなか決まらなくって……って碧様……いや……碧君は?」


東大、余裕で受かったんだろうなー。


トップの成績で受かってそう。


その時、お母さんがお盆にティーカップを載せて持って来た。


ローテーブルに紅茶を置く。


温かい紅茶からは、ゆらゆら湯気が立っていた。


それを、飲もうと私はティーカップを口に持っていく。


私がフーフー吹いて、その紅茶を冷ましている時だった。


ゆっくりと碧様がこう打ち明けた。


「今日、入試だったんだ。終わってここに来たんだよ。これが難問ばかりでね。弱ったよ。もし受かってなかったら浪人することになる。あの予備校に通うつもりだよ」


ふーん。


予備校ね。


???


え?


予備校?


よびこーっ!!!


どうしてー!?


浪人ってどういうことっ!?


「浪人って?」


「だから、浪人だよ」


「それ知ってるけど、浪人するなんて聞いてないよ」


「あまり人に話してないからね」


「受かったんじゃなかったの? 碧君に限ってそれはないでしょ? 東大にまさか……」


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