チェリーガール
「そんなこと、やめてくれ」


碧様が土下座した私の肩に触れる。


顔を上げると、碧様は優しく微笑していた。


「受験は運も必要。君のせいじゃない。君のせいじゃないんだ」


「でも!!」


「僕は運が悪かった。ただ、それだけ。来年がある。来年また頑張ればいい」


「だけど!!」


「わかった」


腰を下ろしていた碧様が、立ち上がる。


何?


「彼女になってくれたら許す」


碧様……。


今……なんて……?


「彼女に?」


私、驚いて見上げる。


碧様の顔はみるみる紅潮していく。


これ、告白?


そう取っていいんだよね?


「どうして私なんかを?」


「予備校でも路上でも本屋でも、どこでも君を見かけるようになったんだ」


「私を? あっ」


そっか。


そうだよね。


だって、ストーカーしてたもん。


そりゃ、見かけるよね。


「気が付けば君が僕の眼中にいた」


なるほど……。


そうだったんだ……。



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