チェリーガール
「クリスマスイヴの日に、君の後をつけた」


「どうしてそんなことしたのっ!?」
(人のこと言えるの?)


「君に彼氏がいるんじゃないかって思ったんだ」


「私に?」


「うん。彼氏がいるならイヴの日に会うだろ? だから、調べたかったんだ」


「彼氏いないよ」


「わからなかったんだ。それで、手芸センターまで行った」


「あー!! そういえば、見たよっ!! やっぱり、あれ碧君だったんだ!!」


「見つかって急いで逃げた。僕はドジだなあ」


笑いながら、顔を両手で覆う碧様。


それで、あの時いたんだ。


そうだったのか。


「もう二度としないよ。許してくれ」


そんな……。


私なんか……。


いっつも後をつけてたよ?


謝っても許されないくらい、ストーカーしまくってたよ?


「それくらい、別にいいよ。許せる範囲のことだよ。世の中にはもっとひどいストーカーがいるからね」
(自分は謝らないの?)


「よかった」


また、碧様は紅茶を啜る。


私も紅茶を飲む。


「今日は、バレンタインのお返しを持ってきたんだ」


「あー。でも、ホワイトデーより少し早いよ」


「早く君に会いたくて試験終わったら来てしまったんだ」


碧様は、鞄から包装紙に包まれた箱を取り出して私に差し出す。


私は箱を手に持ってみる。


「中身は何?」


「開けてごらんよ」


「じゃあ、遠慮なく開けさせてもらいますよ」





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