チェリーガール
「まーね。ははははは」


校門から校舎を見渡す。


四角い箱のようなその学校は、私立というだけあってピカピカしてキレイだった。


古びて普通っぽい、うちの学校とはだいぶ違う。


「どう? うちの学校は? 感想聞かせてよ」


「キレイ」


「それだけ?」


「うん。中に入ってみないとわからないから、それしか言えない」


「入るのはちょっとね……。雪男……じゃない……碧君いるよ」


「わーい、やったー。出待ちできる~!!」


たまきのように緑色のブレザーの制服を着た桃陰の子たちが数人ずつで何組か下校していく。


その中に碧様はいないかと、入念にチェックする。


「こわいよ。ストーカーみたいな目になってる」


「ストーカーだもん」


「あっ。そっか。そうだった」



我が友であるたまきは、私の出待ちに付き合ってくれるそうだ。


良き友。


「まだかな、まだかな~」


「先生のとこに質問に行ってるだろうから時間もうしばらくかかるだろうね」


「質問か……。碧様、真面目。そういえば、気になることが……。碧様って歩くんだよ。予備校から家まで歩くの。変だと思わない?」


たまきは、私が問いかけるとガシッと両手で肩を掴んできた。


「それ知ってる!!」


普段の1.5倍くらい大きく目を開けてぱちぱちさせながら大声で返事をする。


このリアクション、何?


「電車もバスも乗らないんでしょ? 歩くんでしょ? 知ってるよ!」


「え! なんで知ってるの?」
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