チェリーガール
駅から家までの帰り道。


辺りはすっかりオレンジ色。


日が沈みかかっていた。



老人ホームの真新しい大きな建物と小奇麗な小さいマンションの間の道路を二人して通っていた時だった。

「みゃ~ん」


聞こえるか聞こえないかの微かな鳴き声がした。


何だろう?


「みゃ~ん」

高い可愛い猫の声。


今度は、はっきり聞こえた。


この近くに猫がいる。


どこだろう?


その声が聞こえた途端、碧様の様子が急変した。


左、右と交互に顔を向けて何かを探し出した。


ひょっとして、猫……?


老人ホームのカーポートの近くまで寄る碧様。


猫はどうやら駐車されている車の下にいるよう。



どうする、碧様?


わざわざ碧様は、しゃがんだ。


そして、猫を見ようとする。


なんで執着するの?


碧様は、猫をじっと見ているよう。


すると、猫が道端まで歩いてきた。


猫は子猫だった。


真っ白の可愛らしい猫!!




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