チェリーガール
もう、ストーカーやめる。


碧様、困らせたくないもん!


「うん。やめる。ストーカーやめる」


「そっ。えらい、えらい」


「もう困らせるようなことしない」


「うん。それがいいよ。すだちのクラス行くのも控えた方がいいよ。恐がってるだろうから。いっそ、他の男にしたら?」


他の男……。


そんなの無理……。


考えられない……。


嫌われても碧様が好き。


大好きなの―――――!!



「イイ男紹介するよ。いっぱい男友達いるから。どう?」


メイク直しが終わったたまきは、明るくさっぱりした表情で私に違う男を勧めてきた。


彼女はくるりと鏡に背を向けて、洗面台に両手を置いて寄りかかっている。



「それは……いい……。遠慮しとく。碧様以外は考えられないから」


「えー? 他にイイ男いっぱいいるよー。変なのにしなくても……」


「変じゃないもん! 変って言わないで! 変わってるけど美人の彼女がいるんだよっ!!」


「えー! あれに美人の彼女がー? 彼女いないって確信持って言ってなかった?」


「そーれーがー、彼女かどうかわかんないけど彼女らしき人がいたの」


「聞いてないよー」


まだ、言ってなかった……。


学校ですだちには話したけど、一昨日の出来事をたまきには報告してない。



「家の前に女がいたの。それも超イイ女。何か二人で喋ってて知り合いみたいだった。あれ彼女かなー?」


「彼女でしょ?」


「やっぱり?」




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