王子達と甘い恋





「………胡桃泣いてるのか?」


私の顔に、両手を添えて親指の腹で涙の跡をなぞる銀野くん


彼の温度が肌を伝って感じる……


暖かい………


『私、川尻さんと谷田くんに凄い酷いことしちゃった……。』


本音を言えば、何故かさっき無理矢理とめた涙が復活する


ぼろぼろと銀野くんの細くて、長い指にも伝っていく


「伊織も後悔してた。あの後教室で、ずっと落ち込んでた。」



『……嘘。谷田くんが?』


そう尋ねれば、首を縦に振ってくれた


よかった………。

谷田くんに嫌われたかと思ったよ……


< 63 / 102 >

この作品をシェア

pagetop