one-side Love
「ケンちゃん」
あたしはケンちゃんのすぐそばで呼んだ。
けど、ケンちゃんは一向に起きる気配がない。
今度は少し揺すって起こしてみる。
起きない。
そうだ!ケンちゃんアレ弱かったよね!
あたしは昔ちょっとしたイタズラをしてケンちゃんにすごく怒られた記憶があるけど、これなら絶対に起きる!
あたしには絶対の確信があった。
ふぅ~
ケンちゃんの短く切られた柔らかそうな髪の毛から覗く左耳に息を吹きかけた。
案の定、吹きかけた瞬間ケンちゃんの目は勢いよく開き、油断していたあたしの顎にケンちゃんの後頭部がクリティカルヒット!!!
いったぁーい
顎が顎がめちゃくちゃ痛いよ。若干涙がでてきた。
あたしがケンちゃんの座っている椅子の背後で蹲ってると
『誰?』
かなりお怒りの様子のケンちゃんの声が上から降ってきた。
「ケンちゃん!!あたし帰ってきたよ!!」
すごく痛かったけど、そんな痛みはケンちゃんに比べれば屁の河童さ!!
あたしは起き上がりケンちゃんを見た。
『…何言ってんの。』
呆れた感じであたしのことを見ながら目は『こいつ頭おかしいんじゃないの?』みたいなことを言っている。
ケンちゃん・・・あたしのこと覚えてないの?約束したよね?夕日が沈んだ高台で。
ケンちゃんはあたしのこと忘れちゃったの?
あたしはかなりの衝撃で呆然とケンちゃんを見つめていた。