one-side Love
二人とはクラスも同じであたしの一番の友達になった。
『へぇ~、でそのケンちゃんを追っかけてこの街に戻ってきたってわけ?』
「追っかけてきたわけじゃないよ、戻ってきたの!」
『同じじゃん。』
ちょっと呆れながら巴に言われてしまった。
『それでケンちゃんには会えたの~?』
この語尾が気になる話し方がおっとりした鈴。
「ううん。前住んでたところに行ったんだけど、引っ越したって言われてまだ会えてないの。」
思い出しただけでも悲しい。
あたしがここに越してきてからすぐに会いに行ったのに、ケンちゃんのお家は引っ越したらしくて誰も住んでいなかった、近所の人にどこに引っ越したか聞いたけどみんな詳しくは知らなかったし、あとは高校しかない。実はあたしはケンちゃんと同じ高校を選んだ。
『しかし、普通引っ越すなら教えない?』
巴の言葉が胸に刺さる。
『そうですよ~。なんか連絡なかったんですか~?』
あんまり言いたくない…というか、聞かれたくもなったことを。
「実は中学に入ってめっきり手紙の返事は減ったんだけど、去年は1通も返事が来なかったの。」
自分で言って落ち込むよ。
『まぢ!!?それって嫌われてるんじゃない?』
グサ!!巴の言葉は直球過ぎてあたしにはきついよ。
『それはちょっと言いすぎですよ~、きっと忘れてるんですよ~』
バタン。あたしは倒れた。鈴のは殺傷能力が高すぎる。
二人とも悪気があって言ってるわけじゃないことは知ってるから余計にダメージが大きい。
しかし、忘れられてるか…あたしってケンちゃんにとってそんな存在だったのかな?
ケンちゃんはあたしにとってとっても大切で何よりも大事な存在なのに。
「はぁ~、ケンちゃんどこにいるんだろう。」
あたしが入学して2日目の春の暖かい日だった。