粉雪の舞う夜
「だめだからね!
せっかく、早紀が初めて気になった人なんだから、諦めちゃだめよ!」


珍しく真剣な顔の美幸。

美幸は、美幸なりに心配してくれてたんだと思う。

何に対しても興味を示さない私が、初めて興味を示したから美幸は応援してくれようとしてる。


そう思ったら、私も頑張らないとと思えてきた。


「そ…うだね…」


「そうよ!で、だれよぉ?」

「あっ、それが名前聞いてなくて。
ほら、入口の一番隅に座ってた人」


改めて気づいた、私、彼の名前知らないし。


どうにか分かってもらうため美幸に説明するけど、美幸はわからないらしくて、修平君に聞いてみることにした。


「一番隅にいた奴?」


「うん」


修平君も、さっきまでの風景を思い出そうとしていた。

「どんな奴か、言ってみて?」


と、聞かれたから私は思い出せるだけを言う。


「えっと、癖のある黒髪で白いパーカー着てて、それで……、可愛い感じの人」


「………黒髪、パーカー……」


修平君は、顎を指でさすりながら眉を歪めた。


どうしたんだろうと思い、私と美幸は首を傾げる。


「で、誰かわかった?」


私の代わりに美幸がきいてくれた。
< 16 / 49 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop