粉雪の舞う夜
チロリ、チロリ………

チロリ、チロリ………


真っ黒な空からは、あまりにも綺麗すぎるものが降ってくる。


チロリ、チロリ………


チロリ、チロリ………



雪。


白くて、冷たい結晶。


上を見上げている私の頬に、フワリと落ちては滴に変わり涙共に流れていく。



雪。


雪。


雪。



あぁ、どこかで似た光景を見た気がしてた。


「………夢……」


そう、それは夢の中。


今の私のように、涙で頬を濡らしていたであろう女の人も、今の私みたいに雪が降る空を見上げていた。


似てる……。


一つだけ違うとしたら、見下ろした、そこには彼が……いないことだけ。


やっぱり、雪なんて降らないでほしいと思った。


降らなかったら、さらにこんなにも胸が、締め付けられることなんて……きっと、なかった……。


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