粉雪の舞う夜
すると彼も私に視線を向けて、またニコッと微笑んだ。


視線が絡み合う私と彼。


「うん、懐かしい」


何が、懐かしいんだろう?


彼は、笑みを崩すことなく笑ってる。


こうして見ていると、さっきは気づかなかったけど、彼は私よりも大人に見えた。


穏やかに笑う表情とか、彼独特の雰囲気とか、色気があって子供の私よりも大人だろうと思った。


私は、彼に聞いてみることにした。


「貴方は、誰なんですか?……その、人…では、ないですよね?」


そう私が聞くと彼は驚いたのか目を見開いて、私を見てくる。



そして、次に目を細めて私から目線を反らすと、唇を噛み締めた。


「気づいてたんだね?」


「……はい。最初は、信じられなかったけど、私以外誰も、貴方を知らなかった」


「そうだ、ね……」


彼は、自分の手をキツく握り締めていた。


私が気づくなんて思ってなかったんだろう。


「……怖くない?」


小さく震える声は、なにかに怯えているように聞こえた。


“怖くない?”と聞かれて、私は考える。


でも………。

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