粉雪の舞う夜
真剣に話しだした私に、怪訝な表情一つ見せず話しを聞いてくれる正典さん。


「その奇跡って、人それぞれ違うらしいの。
それに、誰にでも起こるものでもないって言ってた……」


最近夢と同じように思い出していた、お婆ちゃんの言葉。


最初は半信半疑だった私だったけど、今は信じたいと思う。


「雪が降ると……か」


そう言いながら空を見上げる彼の瞳は、切なげで私は何て言葉をかけていいのかわからなかった。


「今雪が降ってるおかげで奇跡が起きて、正典さんに会えたんだとしたら、私はお婆ちゃんが言ってた“奇跡”を信じたいと思ったんだ」


「うん。ありがと」


「あっ、もうそろそろ2つ重ねようか?」


大分大きくなった雪の玉を見た私は、話を一時中断して冷えて固まった体を立ち上がらせた。


正典さんは『そうだね!』と言って、頭の部分になる雪の玉を持ち上げようとしたのを、私もかけより手伝う。


よいしょ!っと、二人で持ち上げて、もう一つの雪の玉にのっける。


固定したのを確かめると私は、近くに落ちてある大小さまざまな木の枝で飾り付けをしていった。

腕に目に鼻に口、結構適当にやっている私。

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