粉雪の舞う夜
「そんな、悲しい顔しないでよ……。
…私といたクリスマス楽しかったって思ってよ…ねぇ?」

クリスマスって、みんな楽しく過ごすもんでしょ?


寒い冬に、おとずれる暖かな時。


それが、友達と過ごそうが家族だろうが、彼氏彼女だろうが同じこと。

みんな、今日というクリスマスを楽しんで暖かい一時を過ごすんだ。


「笑ってくれなきゃ……いい思い出にならないよ……」


だから、笑って?


私は、俯いたままの正典さんの頬を両手 で包んだ。



「……早紀ちゃん…」


必死に笑顔をつくろうとしてる正典さんを見て、私は、また一つ大事な事を思い出した。



それは、思い出さなくてもいいんじゃないかと思う、お婆ちゃんの言葉だった。


「…あと、少しだよ……」

微かに震えた私の声に、正典さんは反応を示した。


「…早紀、ちゃん。
……もしかして、知ってたの?」


私は、頭を左右に振る。

「今、思い出した。
……ずっと……忘れてた。お婆ちゃんが、最後に言った言葉」



ようやく思い出した。


『聖なる夜に雪が降るとと奇跡が起こるの』


『それは、人それぞれ違うものなの』


『でもね、その奇跡は………』
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