粉雪の舞う夜
さっきまで止まないんじゃないかってくらい、降っていた雪がだんだん止んでくる。


ふわり、ふわりと風に舞う粉雪に包まれるように、私と正典さんは空を見上げる。



クリスマスが終わるまで後…………3分。



「もう、お別れしないとね……」


「………うん」


正典さんは、足下にある雪を掴み上げると、いきなり私の頬にあててきた。


「うわぁ。冷たい!」


あまりの冷たさに、ビクッと体が飛び跳ねた私を見て、クスクス笑う正典さんに一言嫌みを言おうと口を開きかけた時、正典さんの声により、できなかった。


「俺に笑えって言っといて、早紀ちゃんが笑わないでどうすんの?」


ニコニコと微笑む彼は、さっきまでの悲しさは消えていて、いつの間にか私の好きな彼の笑顔になっていた。


「俺は、ずっと早紀ちゃんに笑っていてほしいんだよね。
これからも、ずっと……」


「そっか……。
そうだね、バイバイは笑顔じゃないとね」


「……うん。あっ、最後にさ、約束しようか?」


「……約束?」


私がそう聞くと正典さんは、うんと頷いた。


「もう一度、約束したいんだ……。
今度は、ちゃんとした人間として君に逢えるように」


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