粉雪の舞う夜
お婆ちゃん……。


本当に、奇跡ってあるんだね……。


雪の降るクリスマスの日に、私は愛しい人に巡り会えました。


今まで、人を愛せなかったのは、きっと前世の私が、彼の約束を待っていたからなんだよね……。


お婆ちゃん……。


雪、止んじゃったよ…。

終わっちゃったよ……。



『早紀、でもね、奇跡は雪が止むと同時に終わってしまうんだよ』


お婆ちゃんの言った通りだったよ……。


クリスマスという神聖な日に雪と一緒にやってきて、雪と共に天に彼は帰って行きました。


公園を出る前に、もう一度だけ彼を見たくて、振り返ってみた。


でも、そこにはもう……。


愛しい人の姿はありませんでした。




「…正典さん…」


彼の名前を呼びながら空を見上げると、彼の笑顔に負けないくらいに輝いた満月が、私を照らしてくれた。

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