粉雪の舞う夜
「って、言ってたなぁ?
でも何であんな迷信みたいな事、私に言ったんだろう?」


雪が降りそうな空を見たら思い出した、昔のお婆ちゃんとの会話。


子供だった私は奇跡がなんなのかわからないのに、ワクワクしながら聞いてたっけ?


でも、今は……奇跡なんて、ないと思ってる。


何故かわからないけど、私は奇跡とか運命とかメルヘンチックものを、どこか胡散臭く思ってる。


ようは冷めた人間……だと友達は言ってた。


「…んなこと言われてもねぇ〜」



そんな、非現実的な事信じれるわけないじゃん?


みんな、夢なんて見ちゃダメだよ?

現実見なきゃ世の中やってけないって………。


「って、いかんいかん!
親父臭い事言ってる」


「あんた、さっきからブツブツ何言ってんの?」


「――どわぁ!」


「どわぁ!って、おっさんか、あんたは?」


「びっくりしたぁ!
……って、なんだ美幸か」


突然背後から、にょきっと幽霊のように現れた友達の美幸に驚いた。


ドクドクと飛び跳ねている胸辺りを押さえながら、美幸を睨んでやった。


「驚かせないでよ?」


「早紀が、勝手に驚いたんでしょ?あってか、今日夜、暇?」
< 5 / 49 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop