君の笑顔をもう一度


 


 『今、お嬢様は部屋から一歩も出られない
  状態です。旦那様に反抗なさってそれに
  怒った旦那様が・・・・』

 ひどい、酷すぎる。

 『あっ旦那様が来られたのでまた後でかけ
  ます』

 桐島さんは慌てて電話を切った。

 「どうしたんだよ?大声上げて」

 櫂が不思議そうに問いかけてきた。

 ガシッ

 勢いよく櫂の肩を掴む。

 「櫂、落ち着いて聞いて。亜理紗が婚約
  したって」

 あたしの言葉に驚き目を大きく見開く。

 「は?・・・・・う・・そだろ?」

 櫂、肩が震えてる。

 私だって信じたくない。あの亜理紗だよ?

 櫂の事あんなに好きだったのに・・・・。

 そんなあっさりお父さんの言う事を受け入
 れるなんて。


 櫂・・・・。

 
 あたしには、何も出来ないのかな?

 
 こんなに櫂が弱ってるのに。

 櫂、真っ青な顔してる。

 「櫂・・・・?」

 「未琴が・・・言うんだから本当・・なん
  だよな?」

 声まで震えてる。


 ギュッ


 「・・・未琴?」

 
 私は思いっきり櫂を抱きしめた。

 

 亜理紗・・・・・早く、早く櫂の所に戻っ
 て来てよ。

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