君の笑顔をもう一度
私は無我夢中で走った。
「お父様っ!!」
床は血で赤く染まり、お父様はもう息をし
ていなかった。
「いや・・・・・お父様っ」
血が繋がらない私をここまで育ててくれた
お父様はもう動かない。
人形のようになってしまった。
周りにいた兵士は皆、涙をこらえ敵の陣へ
と進んでいた。
「未汐さまっ!!!!危ないっ」
え?
―グサッ
飛んできた数本の矢が刺さった。
「み、雅様・・・?」
その矢は私ではなく私の前に立ちはだか
った雅様に刺さった。
雅様は流れる血を押さえ膝を突いた。
私は崩れ落ちそうになった彼を支えた。
「大丈夫でしたか・・・・?」
彼は苦しそうに私に尋ねた。
「雅様・・・・いやっ」
大粒の涙が流れるように頬を伝う。
「泣くな・・・・未汐私はあなたの笑顔が一
番好きだ。・・・来世もまた恋に落ちよう
・・・・。その時はまた私と恋をしてくれ
・・・・いつまでも私は未汐だけを愛し・
・・・てる」
「はい・・・・何度でも・・・何度でもま
た私はあなたに恋をします」
私がそう言うと私の頬に当てていた手が力
なく落ちた。
雅はまだ18歳とゆう若さでこの世を去った。
「・・・・・っ・・・・ヒクッ・・・雅様~
!!!!!!!!」
彼女は声の枯れるまで泣き叫んだ。