Circle of Happiness ~幸せの輪~
「イノ~。おじゃましま~す。」

異常なテンションでやってきた有希。

「いらっしゃい。」

「それで、大事な話って何かな?」

「あ、うん。」

不思議そうに首を傾げて聞いてくる有希。

「あの…ね、」

さっきのお母さんの気持がわかる。

「私ね、」

分かってったことなのに、

病気が悪化していて、半年後には死んでしまう。

そう伝えるだけなのに、

辛い。

だけど、

大切な有希にだからこそ、言わなきゃ。

「後、半年らしいの。」

告げて、苦笑いを浮かべる。

「祈…」

有希がイノじゃなくて祈と呼ぶのは珍しい。

「死なせない。死なせてなんか、あげないんだからっ。」

涙をポロポロ零しながら叫ぶ有希。

「有希…」

名前を呼んだ途端に抱きしめられる。

「イノ、泣いても良いんだよ?」

「…泣かないよ。有希。」

死なせてくれないらしいから。

「…そだね。」

まさに、意思疎通。
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