Circle of Happiness ~幸せの輪~
「祈、運ぶぞ。」

それだけ声をかけて保健室へ急ぐ。

声すら出せないのに、涙を流す祈を痛ましく思う。

なんで、コイツなんだ。

俺なんかよりずっとイイヤツで、賢くて、人のことを考えれて、何だってできる。

こいつのほうが、必要な存在だろ?

なのに、なんで俺じゃなくコイツが病気なんだ。

頑張ってるのに苦しませて、何が楽しい?

気に入らねぇ。

神様だろうが仏様だろうが、かまわねぇ。

こいつのこと、助けてやってくれよ。

苦しめないでやってくれ。

変わらせてくれ。

どうしてもそれが出来ねぇなら

誰にも頼ろうとしないコイツのこと、俺以外にちゃんと支えてやれる奴、

出してくれ。

俺の人生かけてやるよ。

叶えてくれるなら、俺の幸せなんか望まねぇ。

俺はもう十分幸せだから、

俺の分の幸せ使ってでも、祈のことを幸せにしてやってくれよ…。



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