Circle of Happiness ～幸せの輪～

祭くんは、どんな反応をするんだろうか。

「お父さん帰ってきたらご飯ね？で、その後話しましょう。」

「うん。」

「祭、お風呂洗ってきてくれない？」

「いいよ。じゃ、洗ってくるわ。」

祭くんがお風呂を洗いに行ったのを見計らってお母さんが私の頭を撫ぜる。

悲しそうな顔をして、今にも泣いてしまうんじゃないかというような表情で。

お母さんに悲しい顔をさせている自分が嫌だ。

「祈、ごめんね。」

「平気だよ？私こそ、ごめんね。」

親より先に死んでしまう私は、とんだ親不孝者だ。

私の言葉にもっと悲しそうな顔をするお母さん。

お風呂場から水音が聞こえなくなるとお母さんは私から離れた。

「終わった～。」

「ありがと～。祭いい子～。」

お母さんがからかうように祭くんと話をする光景を見て、少しだけ寂しくなった。

死んでしまったら、この当たり前の光景は変わってしまうのだろうか…。