sweet. Love. shower.
『皆川さんに迷惑かけないようにしなさいね。彼のこと、支えてあげてよ。』
『分かったってば~。お母さんが羨ましがってるのが最後まで伝わってくるよ。』
『言っとくけどね、お父さんもだから。』
そう言うと父と母は私達に大きく手を振って帰っていった。
『ごめんね、最後の最後までミーハーで。』
私がそう言うと、寛治は笑いながら私の頭を撫でた。
『葉月は両親から愛されてるんだよ。これからは俺のこともよろしくね。』
そう、この笑顔。
この笑顔に一目惚れしたのだ。
『私、家事頑張るね。』『頑張らなくていいんだよ。俺と一緒についてきてくれる道を選んでくれただけでも十分幸せだよ。』
隣に座る寛治からふっと爽やかな香りがした。
『これからはこの香りとも毎日一緒だね。』
『そうだね。ってか、俺は親と離れた葉月は泣くかと思ってハンカチ忍ばせてたんだけどなぁ~。』
そう言うと見覚えのあるハンカチをポケットから取り出した。
『ほんとだ!ってこれ私のハンカチじゃん!』
『だって俺持ってないんだもん。ほら、泣いて泣いて!』
『もぉ~泣かないって!』
移動の新幹線の中でこんなにじゃれあうのは、付き合って1ヶ月だからかな。
それとも、誰も知らない土地に向かう不安な気持ちを書き消したいから?どんな理由があっても、期待と楽しみな気持ちがあるのは確かだった。
この人とだったら、ね。
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