sweet. Love. shower.
寛治はスポーツクラブのインストラクター兼副店長だ。
入社してからずっと、日本各地の店舗をまわり、仕事をしており、私と両親が通っていた新潟店に異動した時に出会った。 無論、始めはインストラクターと会員の間柄。
館内ですれ違えば挨拶をする程度だった。
それが、元々東京生まれの彼と休日に買物をしていた時に偶然会い、関係は少しずつ変わっていった。
『新潟で美味しいお店を教えてほしいな。』
という彼の一言で、連絡先を交換し、メールから始まった私達の距離が縮まるまで1ヶ月。
勿論、誰にも内緒だ。
…たった1ヶ月?
『さて、今日は異動で疲れたから早く寝ようか。先にシャワー借りるね。』
『うん、いいよ。』
荷物が散乱している部屋で、もらったインスタントコーヒーを開けた。
『…安い匂い。…そりゃそうか。』

…と。

(ピピピピピ…)

寛治の携帯が鳴った。
…長いな。
どうやら着信のようだ。『こんな遅い時間に…職場の人かな。』
時計は深夜1時をまわっていた。
寛治はお風呂に入ってるし、ほっとくしかなかった。
『…ふぅー…。』
インスタントコーヒーを一口飲むと、ため息が出た。
ふと、佳とよく行っていたカフェを思い出した。 そして、あの場所にはしばらく行けないんだということを改めて感じて、少し、寂しくなった。
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