初恋 ~短編~
初恋


この春、俺は憧れの丘上高校に合格した。



何もかもを、ゼロからのスタートにしたい。
そう思ってこの学校へと進学した。


県外の高校のため、今日から寮生活がスタートする。
知っている友達も、1人もいない。
新しい、友達ができるのか?
勉強はちゃんとついていけるのだろうか?
そして何より、“恋”はできるのだろうか?



チラリと見た時計の針は、寮を出る時間を10分も過ぎていた。


「やべぇ」


急いで階段をかけおりて、寮母さんに「行ってきます」と挨拶して勢いよく玄関のドアを開けた。


と、言っても…
寮と学校の距離は目と鼻の先。


まだまだ、時間に余裕があった。
少しでも焦った自分に恥ずかしいと思った。


少し歩くと、クラス発表の紙が貼られた玄関らしき場所が見えた。
大勢周りに群がっているなか、背伸びしながら自分のクラスを探す。


「俺のクラスは………1-4か。」


ポソリと一人事を言うと、横にいた背の高い男子生徒が話し掛けてきた。


「君、1-4?」


「あ、うん。そうだけど」


「俺も1-4!!よっしゃ、君、俺の友達第1号な♪」


ノリのいい口調で話す彼。
さっそく友達ができたと思うとつい笑顔になる自分がいた。


自分の自己紹介をすると、彼も自分の名前を教えてきた。


岸本 総。それが君の名前。
男の俺がいうのも変かもしれないけど、ほんとに笑顔がすてきなやつだ。

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