初恋 ~短編~
「一緒に教室あがろうぜ」
総は、そう言ってさっさと靴を履き替えはじめる。
それに習って、俺も靴を履き替える。
「なぁ、総ってさぁ、この学校に知ってるやついんの?」
なんとなく質問してみた。
「んー?幼なじみが1人だけな。」
「へー」
それからしょうもない会話をしながら教室にたどり着いた。
「お!ラッキー。席近いな♪」
そう言って、前後の席に座る。
「なぁ、総の幼なじみってどんなやつ?」
「えー?気になる~?」
イタズラっぽく笑った総の顔はやっぱりかっこよかった。
「おう!気になる!」
「しゃぁねぇなぁ、着いてこいよ」
そう言って席を立ち上がり、隣の3組の教室へと向かった。
「りなーー」
大声で、恥ずかしくもなく教室の窓から叫ぶ総。
その声に反応して1人の女子生徒が近寄ってきた。
「もー!!何?恥ずかしいじゃん。」
彼女の眩しい笑顔が僕の目に映る。
心臓がすごくうるさく働く。
なんだろう?この気持――…。
もしかして、これが“恋”というものなのだろうか―――?
もしそうであるのならば、俺は彼女に一目惚れをしてしまったのだろうか?