月光る夜に
side リーチェ
それから数日後の夜。
私は自室で、就寝の準備をしていた。
既に衛兵も出ていっていて、この部屋にいるのは私とアンナだけ。
コンコン。
あら?
今何か音がしたような……
コンコン。
窓からかしら?
……まさか!!
アンナもそう思ったのか、慌てて窓へ走って行く。
さっとカーテンを開けると、そこにいたのは銀色に光る―――
「ルシアン様!」
アンナが窓を開けると、スルリと彼は部屋に入ってきた。
「美しきサイオニアの姫君に、お礼をしたく参上申し上げる」
まるで正式な場での挨拶のように、私の前で片膝をつくルシアン様。
数日ぶりにルシアン様に会えてなんだかとても心がふわふわして、自然と顔が綻ぶのがわかった。
「どうぞお立ちください、ルシアン様。会いに来てくださって本当に嬉しく思います」