月光る夜に
助けなきゃ!!
男と目があって、何故かそう思った。
どうしてこんなところにいるのかわからないけれど、この人の目はとても真っ直ぐだわ。
一瞬の判断で私は叫ぼうとするアンナを押さえて、男の右手をとった。
「こちらへ」
男が少し動揺したように体を揺らす。
「ここにいては見つかってしまいます」
じっと男の目を見つめる。
私はあなたを助けたいの……。
そんな思いで男と目を合わせると、ス……と男が力を抜いたのがわかった。