太陽は月を見れない
第一章
今日も朝日が昇り、窓から光が差し込む。
わたしはもう何年『夜』を見ていないのだろう。
闇夜に輝く月を眺められなくなったのはいつ頃だったのだろうか…。
わたしは重い体をたたき起こして、急いで服を着替える。
誰もいない家に、いってきますと言い残し、わたしは外へと飛び出した。
そんなわたしには日課がある。
それは近所の公園で一通の手紙を探すこと。
「…あった……」
わたしは急いで封筒の中身を確認する。
「『歌南 君は今日も僕の手紙を探してくれたのでしょうか…』」
一文一文、噛み締めるように読み進める。
彼の文章はわたしの欲しい言葉を、ピタリと言い当ててしまう。
『僕は毎晩君の手紙を楽しみにしています。ところで最近寒いですが風邪などは引いていませんか?』
「灯夜くん…。」
わたしはキュッと手紙を握りしめた。