太陽は月を見れない



私が手紙を書き終えた頃、太陽は1番高い所まで昇っていた。

「ご飯…食べなきゃ。」


キッチンに向かい、フライパンを棚から下ろす。
今日はあんまり作りたい気分じゃない。
正直食べなくてもいいかな、なんて思ったりする。

どうせ、一人分で何か作っても余っちゃう…。

でも、食べないとたまに会うお母さんに心配かけてしまう。

「…野菜炒めでいっか。」


私は一通り用具を整え、冷蔵庫を開いた。

「え……グラタン?」


グラタンなんて、久しぶりに見た。
一人だと作る気にもならないし…。

お母さんが買ってきてくれたのかな…。


「……夜帰ってきたんだ。」


夜、私は…

「会えないもんね。」

そんなこと言ったって、余計に悲しくなるだけなのはわかってた。

ジワリとまた目が潤む。

いけない。
泣いたらまた辛いだけ……。


私は気を紛らわせようと、急いで電子レンジでグラタンを温め直した。
グラタンの優しい香りがキッチンに充満する。

「いただきます。あ……美味しい…。」

マカロニたっぷりのクリーミーでほんのり甘い、好みの味。

ちょっぴり、心が和らいだ。


「もう…こんな時間。」


そろそろ、太陽は沈む時間だ。

手紙を片手に、公園へと向かった。

「…また、明日ね。」






< 11 / 17 >

この作品をシェア

pagetop