太陽は月を見れない
私が手紙を書き終えた頃、太陽は1番高い所まで昇っていた。
「ご飯…食べなきゃ。」
キッチンに向かい、フライパンを棚から下ろす。
今日はあんまり作りたい気分じゃない。
正直食べなくてもいいかな、なんて思ったりする。
どうせ、一人分で何か作っても余っちゃう…。
でも、食べないとたまに会うお母さんに心配かけてしまう。
「…野菜炒めでいっか。」
私は一通り用具を整え、冷蔵庫を開いた。
「え……グラタン?」
グラタンなんて、久しぶりに見た。
一人だと作る気にもならないし…。
お母さんが買ってきてくれたのかな…。
「……夜帰ってきたんだ。」
夜、私は…
「会えないもんね。」
そんなこと言ったって、余計に悲しくなるだけなのはわかってた。
ジワリとまた目が潤む。
いけない。
泣いたらまた辛いだけ……。
私は気を紛らわせようと、急いで電子レンジでグラタンを温め直した。
グラタンの優しい香りがキッチンに充満する。
「いただきます。あ……美味しい…。」
マカロニたっぷりのクリーミーでほんのり甘い、好みの味。
ちょっぴり、心が和らいだ。
「もう…こんな時間。」
そろそろ、太陽は沈む時間だ。
手紙を片手に、公園へと向かった。
「…また、明日ね。」