太陽は月を見れない
ずっと手に握りしめていた、手紙がパサリと地面に落ちた。
「…っう……。」
落ちた拍子に、封筒から手紙が出てしまった。
大切な手紙。
わたしは急いで手紙を拾う。
その時、手紙の間から、一枚の紙がひらりと舞い落ちた。
「何これ…?『笑え』…?」
勢いよく書かれた文字に、力が篭っているようだった。
わたしの涙はいつの間にか止まっていた。
「灯夜くん…逢いたいよぉ。」
そんなわたしの想いは日に日に強くなるばかりだ。
「そうだ…返信書かなきゃ。」
『−−−灯夜君へ
お手紙ありがとう。
私は元気です。
今日は学校で漢字テストがありました。
勉強してなかったから全然解けなかったよ。
みんなに笑われちゃった。
まだまだ寒い日が続くみたいです。
灯夜くんも体に気をつけてね。』
手紙の中だけでいい。
せめて…灯夜君の頭の中の私は普通の女の子でいたいの。
「嘘ついて、ゴメンね…。」
ピンクの便箋に込めた想い。
どれだけわたしの想い、伝わるだろう…。
孤独なわたしを見てくれているのは、灯夜くんだけ。
だから…失いたくない。
嘘をついてでも…
灯夜くんと繋がっていたい。