太陽は月を見れない
「…。」
またいつもの朝が始まる。
一日が始まるんだ。
また、少し悲しくなる。
朝から何でこんな…
ダメだ、また泣いてしまいそう。
気持ちを切り替えなきゃ。
「…っ新聞取りに行こう。」
まだ少し肌寒い季節。
急ぎ足で玄関前のポストに向かった。
途中でちらっと見たテーブルの上に、飴やスナック菓子がおいてあった。
…夜中にお母さん帰ってきたのかな。
また、会えなかった。
あぁ、もう…
気持ち切り替えるって思ったばかりなのに…!
ガチャリ。
無駄に重く重厚な扉を開いた。
「寒…っ」
「…歌南…?」
玄関の門の前に人影が見えた。
「久しぶり…歌南。」
わたしの名前を呼んでいる。
この声は…まさか…
「ま、麻衣……?」
コクリ、と頷き彼女は微笑んだ。
わたしは思わず目を見開いた。