太陽は月を見れない
麻衣は小学校の頃の同級生だ。
長くて綺麗な髪、整った顔、スラッとした体型。
当時と変わらない。
いや、もっと磨きがかかっているかもしれない。
「やっぱり…歌南なのね!?」
「な、んでいるの」
「あたしね、昨日この街に帰ってきたんだ。だから…歌南に会いたくて。」
「どうして…」
突如『あの時』の記憶が、ぐるぐると脳を駆け巡る。
辛い
怖い
悲しい
裏切り…
もう感情がごちゃごちゃだ。
頭がパンクしてしまいそうになる。
「いや…っ」
「え…歌南?歌南!!」
麻衣は血相を変えて門を飛び越え、わたしに駆け寄る。
その姿が、過去の記憶と重なる。
『あの時』も、君はわたしに手を差し延べた−