となりの女の子
ちひろに抱っこされた葵が日沼家を訪れる回数は、日に日に増えていった。


料理が苦手…というか、花嫁修業もする間もなく結婚したちひろは、離乳食作りにすら悪戦苦闘していて…

それを見兼ねた怜子が料理を教えることになったのだ。


その間、颯太が面倒をみてくれるため、葵もすっかりなついていた。


双子でも、クラスが別々の二人は、友達も遊び方も違った。


外で元気良く遊ぶ寛太と比べ、
家に友達を招き、カードゲームやテレビゲームをして過ごすことが多い颯太。


無理強いをしたことは無かったが、同じ空間に愛くるしい赤ちゃんが居ては、子供心に、あやさないワケにはいかないものなのだろう。

おかげで葵は人見知りをしない子となった。


そんなある日、

「あれ?赤ちゃんがいる!」

「あ…となりの家の赤ちゃんなんだぁ。」

「…ちっちゃいな〜」

「あー!ダメダメ!せっかく寝てるんだから…外で遊ぼ!」

「え〜!だって、新しいゲーム買ったって」

「んー、それはまた今度!いつでもできるからさ!」

「えー!」


せっかく友達を連れて帰ってきた颯太だったが、
葵が寝ているのを見て、外で遊ぶことになってしまい…


「すみません。」

「いーのよ。子供は元気に外で遊ばないと!」

「私、颯ちゃんに頭が上がらないわ…」

「なに言ってんの!こちらこそ楽しませてもらってるんだから、気にしないで。」

「え?…はぁ…???」


大人の勝手な解釈で、事は解決とされていくのだった。

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