tears'blue
試着室に備え付けられた大きな鏡を見て、葵衣は驚いた。
青が自分に似合うと、客観的に見て初めて思った。
「どう?着れた?」
なかなか出てこない葵衣を心配したのか、美春は声を掛けた。
その声にハッとして、葵衣はカーテンを捲った。
「あら!
似合うじゃない!素敵よ。」
満面の笑みを見せる美春の顔に、嘘は無かった。
「あたしじゃないみたい…。」
葵衣が言うと、美春は優しく笑った。
「それじゃあ、もっと綺麗になりましょうか。」
そう言うと、美春は葵衣の手を引き、たくさんの化粧品が並ぶ鏡台の前へと連れていった。
「一回、お化粧 落とさせてね?」
そう言うと、美春は透明の液をコットンに含ませて、葵衣の目元を軽く叩いた。
動きが止まって目を開けると、ウォータープルーフのマスカラもアイライナーも、すでに綺麗に落とされていた。
「え…!?
すごっ!この化粧落とし…。」
驚いて言うと、美春はフフッと笑った。