tears'blue


輪の中に入らず、外から見ていただけの葵衣でさえ、その琥珀と陽とやらが ややこしい人物であることが容易に解る。


「マジかよ…。
勘弁してくれよ…。」


碧の顔も真剣である。


「つか、美春、陽とよろしくやってんじゃん!お前が行けば簡単にくれるだろ?」


何とかしてその役目を逃れたいのであろう碧は、思い出したかのように提案した。


「…ダメなのよ。」


「は?何で?」


「陽に飽きたから、ちょ〜っと琥珀と浮気したらバレちゃって。
ついでに琥珀にもバレちゃった。…えへっ」


「………………。」


開いた口が塞がらない。


「だって、陽って暑苦しいんだもん。琥珀の冷たい感じが心地良かったのよね〜…。」


「さ、行くか。」


美春の言い訳を無視して、碧は葵衣の手を取り、再びエレベーターへと乗り込んだ。


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