tears'blue
ポットの中には綺麗な色とりどりの花が浮かんでいた。
「はい、葵衣さんに。」
そう言って差し出されたカップに手を差しのべ、一口飲んでみる。
淡いピンク色のハーブティーだ。
「おいしいっ…!」
甘く、優しい味。
「…えっ?」
再び口をつけようと、カップを見た葵衣の口からは小さな声が洩れた。
色が、変わっていたのだ。
ピンクから、黄色に。
「飲んでみて。」
十葉に言われ、恐る恐る口をつける。
「…!」
なんと、味まで変わっている。
これは…柑橘系の味だろうか。
しかし、ハッキリと言い当てられない。
レモンのようでもあり、ミカンのようでもある。
しかし、グレープフルーツのようでもあり、柚子のようでもあるのだ。
それぞれは全く違う味なのだが、口に広がるのは全ての味。
そして、再びカップを見ると、今度は黄緑色に変わっていた。