-部恋。Round.03-
「全然気づかなかった。こんな格好でごめんなさいね。」
ふふっと恥ずかしそうに笑って、手袋を取って土を払う。
お庭の花を手入れしていたんだ…。
「突然お邪魔してしまってすみません。長川愛奈です。今日はお邪魔します。良かったら…こちらを皆さんで召し上がってください。」
私は紙袋をお母さんに手渡した。
「あらー、気遣ってもらっちゃって…。ありがとう。いただきます。」
「見てよ、お母さん!おにいのこの顔!デレッデレでしょ!?」
「ほんと。家に帰りたての顔と全く同じね。」
「ちょっと、俺の話はいいから…。」
「あんな無愛想だったのにねー。愛奈ちゃんに出会ってから、顔に出るようになっちゃって。穂波と“恋する乙女”だっていつも言ってるの。」
「恋する乙女…(笑)。」
思わず勇介の顔を見て吹き出す私。
「おい!お前まで笑うなっ」