-部恋。Round.03-
「お邪魔します。」
入ってきたのは勇介のお母さん。
お庭の手入れは終わったのか着替えていた。
優しく微笑んで紅茶とケーキを持ってきた。
ケーキは私が持ってきたものだった。
「おいしいケーキね!さっき、穂波と少し味見したの。」
ふふっと小さく笑ったとき、目元が勇介に似ていることに気が付いた。
「近所にある小さなケーキ屋さんで…。家族みんなここのケーキが一番好きなんです。」
「それなら尚更愛奈ちゃんも一緒に食べた方がいいわね。勇介も愛奈ちゃんと一緒に食べた方が美味しく食べられるだろうし?」
「もー、ほっといて(笑)。」
「おにい~。あたしも一緒にケーキ食べたい!」
ドアからひょっこり穂波ちゃんが現れた。
「いいけど…、ケーキ食べるだけな?」
「えぇ~?」
「穂波ちゃん!一緒に食べよ!」
私が手招きすると穂波ちゃんは嬉しそうに私の隣に座った。
――――――…
「ほんと、美味しかった~!」
「良かった!あたしも食べちゃったけど、やっぱり美味しかった~!」
私がそう言うと、穂波ちゃんと目が合って2人で笑った。