-部恋。Round.03-
『長川、お疲れさん。』
後ろを振り返ると監督が私を見下ろして少し微笑んでいた。
『長川は毎日文句言わずに頑張ってるな。』
そう言って監督は同じベンチに腰をかける。
「そんなことないですよ。文句だって言いたくなるときはありますよ。」
私は笑ってそう言うと、監督も一緒に笑ってくれた。
『文句は言いたくなっても、実際には口に出してないだろ?』
「ま…、そうですね。」
『最初は1年もつのか心配だったが、お前も入部して1年たつんだよな。』
「そうですねー…。」
入学して少し遅れたサッカー部の入部。
去年の今頃、健ちゃんに誘われて入部を決めたんだ。