-部恋。Round.03-
合宿も終盤に差し掛かった頃、合宿所での生活も日常へと変わっていた。
わざわざ目覚ましをかけなくても早朝には目が覚めるし、携帯やテレビを気にしなくなり、完全に野生人だった(笑)
生活のリズムが出来ると仕事も効率よく進み、最初に比べると疲れも少なくなったように感じた。
いつものように休憩時間に合わせて洗濯の準備をする。
午前練の練習着を回収し、一日分の洗濯物を車に積む。
「これで全部―??」
部員たちに声をかけると、「洗濯よろしくお願いしまーす!」と元気な返事が返ってきた。
休憩時間になると、いつもの笑顔が返ってくるからすごく安心する。
「コーチ!集まったんで行きましょう!」
最後の洗濯物を抱えたとき、一瞬目の前がくらんだ。
足を止める。
目をつむって息を整える。
「…先輩??」
アキラくんの足音は近づいているはずなのに、声は膨張したように聞こえ遠かった。
「あ…ごめんごめん。」
目を開けると鮮やかな夏の風景がしだいに白くかすんでいく。
突然のことで心拍数が上がり、そのまま気を失ってしまった。