-部恋。Round.03-
少し返答を考えていると、部員たちの顔がふと変わった。
振り返ると勇介と健ちゃんが食堂に入ってきた。
「おはよー!」
健ちゃんが明るく挨拶をした。
「健ちゃん、おはよう。」
「なに、この空気。」
健ちゃんは異様な空気に気付き、部員の顔を見渡した。
勇介は不思議そうな顔で顔を覗くから、思わず「まずいよ!」と顔をこわばらせた。
「あー、昨日の話ね!」
勇介ではなく健ちゃんが話し始める。
「勇介からさっき聞いたけど、お前たちが思ってるようなことは一切ないってよ。この二人はお前たちと違って健全なカップルだからね。」
なぜか得意気な健ちゃんに思わず私は開いた口がふさがらない。
期待外れの答えに部員たちは「なーんだ」と食事を続け始める。
「健ちゃん、ありがとう。」
「ちゃんと答えないと黙ってたら逆効果じゃん?」
「なんと説明したらいいか言葉選んでたから・・・」
すると勇介がくすっと笑う。
「言葉選ぶってそのまま言えば良かったのに。『一緒に寝たかったから引き止めたんです』って。(笑)」
健ちゃんと私は思わずギョッとして勇介を2人してどついた。
暑い夏はあっという間に過ぎてしまって、夏の練習試合では着実に力をつけたように感じた。
これからまだまだ強くなって目標の大会では絶対に優勝するんだ。