愛して野良猫
「俺ね……使い分けてんの。情報屋である限り、俺に自由はない」
庵は俺の腕を引っ張り
黒いソファーまで誘導した
「座って」
「…あぁ」
「嫌じゃん?自由がなくて‥情報屋"庵"としての時間しかないなんて」
庵の顔が少し‥
暗くなった
「逃げ道が欲しかった‥お前らみたいに、自由に生きたかった。だから、情報屋の"庵"と俺は違う」
「今のお前は本物か?」
「あぁ。本物だ」
「わかった。まぁ、おかしいとは思ってたが…」
「‥え」
…薄々は気づいていた
いや、浬音が言っていた
「浬音が言ってたんだよ」
「へえー……さすが野良」
ククッと庵は笑う